貸金業者に対して過払い請求権を有している方、または有している可能性のある方が、相手の会社から取引履歴を取り寄せると、会社によっては法定利率に引き直した計算書を送付してくることがあります。

 このように法定利率に引き直した計算書を送ってくるのは、主に信販会社で、消費者金融は単に何時いくら借りて何時いくら返済したということが分かる計算書しか送ってこないのが普通です。

 引直し計算をするためには、専用のソフトを用いる必要があり、特に取引期間が長期に及ぶ場合には、ソフトに数字を打ち込むだけでも一苦労です。それを考えれば、あらかじめ引直し計算をした取引履歴を送付してくれるのは親切に感じられるかもしれません。

 しかし、これには大きな落とし穴があります。というのも、貸金業者の作成する引直し計算書には、過払い利息がまったく反映されていないからです。

 取引の途中で過払い状態になると、過払い元金に対して日々の利息が発生します。したがって、その利息も法律上請求できる権利がありますが、貸金業者は過払い利息は支払う必要がないと主張して、計算書にも反映させないようにしています。

 したがって、取引の途中で過払い状態になった時点から、こちらで独自に引直し計算をする必要が出てきます。場合によっては、この再計算によって何万円もの差が出てきますので、安易に法定利率で計算した取引履歴を信じて、それを基に過払い請求すると損をするため注意が必要です。

土田司法書士事務所