債務整理をする際は、債権者に対して取引履歴の開示を求めます。

  貸金業者は、貸付にあたって契約書を、弁済を受けた時は受取証書を借主に対して交付しなければならないことになっています。貸金業者がこれらを交付し、借主がこれらをすべて保管していれば、借主側において、借り入れと返済の経過がわかり、利息制限法の法定利率での残元金の再計算ができます。

  しかし、取引が長期にわたる場合、借主がこれらの書類をきちんと保管していることは滅多になく、貸金業者に取引経過の開示を求めることが必要になります。

  貸金業法は、貸金業者に、取引経過を記載した帳簿の作成および保存の義務があると定めていますが、借主の開示請求に対し、開示する義務があるかどうかまでは、明示的に記載していませんでした。

  しかし、平成17年の最高裁判決は、「開示要求が濫用に渡ると認められるなど特段の事情のない限り、貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の附随義務として、信義則上、保存している業務帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う」として、原則開示義務を認めました。
 
  この最高裁判決を受けて、ほとんどの業者は開示請求があれば、開示をするようになりました。

土田司法書士事務所