個人再生を申し立てるには、ある程度安定した収入があることが条件となりますが、高齢者が個人再生を申し立てる場合の注意点を説明したいと思います。

 

 個人再生では、裁判所が申立人の財産状況や収支を見て、再生手続きを進めることの可否を判断しますが、個人再生の場合、最低でも毎月3万円近い金額を3年間にわたって支払うことが可能かどうかがポイントとなります。

 

 この点、高齢者で退職が間近な方だと、近いうちに給与収入が途絶えてしまう可能性が高いため、再生計画にしたがった返済が困難とみなされやすくなりますが、たとえ給与収入がなくなっても、その後に受給する年金その他の収入が見込めれば、返済が可能とみなされます。

 

 その他にも、個人再生の場合、申立人だけではなく、家族の収入も非常に重要な要素となるため、返済に対する家族の協力が見込めるときは、裁判所が申立人の返済能力を判断する上で、有利な材料となります。

 

 返済能力以外の事項で注意が必要なことは、高齢者で間近い時期に定年退職が迫っており、既に退職金の額が確定している場合は、退職金額の4分の1が申立人の財産として計上されるため、例えば1,000万円の退職金を受給することが確定していれば、最低でも250万円は債権者に返済する必要があります。定年退職が近い場合でも、まだ額が確定していない段階で再生の申立てをすれば、8分の1で済みます。

 

 また、退職金の支給を受けた直後に再生の申立てをすると、退職金のほぼ全額が財産として扱われ、債権者に高額な返済をする必要が出てくるため、再生を申し立てる意味がなくなることもあり、注意が必要となります。

土田司法書士事務所