自己破産を申し立てる際は、申立日の時点でどのような財産を所有しているかを裁判所に報告する必要があるので、破産申立人が加入している任意保険についても報告することになります。

 

 この保険には、現在任意で加入している保険はもちろん、申立前2年以内に解約した保険も含まれます。そして、保険の種類を問わないので、すべての生命保険、医療保険、損害保険等について記載しなければならず、解約返戻金が発生しない掛け捨ての保険についても報告する必要があります。

 

 報告すべき事項としては、保険会社名、証券番号、保険の種類、契約日、月額保険料、解約の有無、解約返戻(予定)金の額、解約済みで解約返戻金を受領した場合はそれを何に使ったかなどです。

 

 解約返戻金は、破産申立時点で、その保険を解約した場合に払い戻しを受けられる金額を記載し、他の財産と合わせて99万円を超える場合は、超過部分について、債権者に分配する手続が必要となります。

 

 また、岐阜地方裁判所において、破産申立人の総資産が50万円を超える場合は、管財事件として処理されますが、たとえ総資産が50万円以下であっても、1件の保険の解約返戻金だけで20万円以上あるときは、少額管財事件となるのが原則です。

 

 ただし、その保険を解約して現金化するのが難しい特別の事情がある場合は、それを上申することによって、財産から除外することができる可能性があるので、一律に管財事件となるわけではありません。例えば、現に申立人やその家族が病気でその保険による恩恵を受けていたり、近い将来に恩恵を受ける可能性が高い場合には、保険を解約すると不利益が大きいため、事実上解約ができないものと評価されることがあります。

土田司法書士事務所