自己破産申立=債務帳消しではない
一般的に、自己破産を申し立てると、債務がすべてなくなるという認識がありますが、これは正確には誤りです。破産を申し立て、免責許可決定が下り、それが確定して初めて債務が帳消しになります。
自己破産には段階があり、まず①司法書士や弁護士などの専門家に依頼する(専門家を介さず自分で申し立てることも可)、②管轄の裁判所に破産を申し立てる、③破産開始決定が下りる、④免責許可決定が下りる、⑤免責許可決定が確定する、という一連の流れを経て、はじめて債務がなくなるのです。
したがって、破産開始決定が下りても、免責不許可事由の存在などにより免責が受けられない場合は、支払義務が残ります。免責不許可事由は、法律で定められており、代表的なものとしては、ギャンブルや浪費によって債務が膨らんだ場合などには、免責が受けられないことがあります。
しかし、現在、申し立てられている破産事件の9割ほどは免責が認められており、たとえ免責不許可事由があったとしても、担当裁判官の裁量により免責が受けられることが多いようです。これは、過去の浪費などに対する非難より、将来の生活の立て直しを優先した方がよいとの考えによるものと思われます。
実際にも、支払能力のない破産者に支払を求めても意味がないので、大半の債権者は、仮に破産を申し立てた債務者が免責を受けられなかったとしても、請求をすることは少ないようです。