過去に任意整理を行って和解した後、その業者を相手にして過払い請求をすることができるかが問題となります。

 結論から言えば、可能です。

 任意整理は、裁判所などの公的な機関が介入せず私的に行う和解であり、そこで支払い方法などを合意したとしても、その時点で法定利率に引き直して計算することに気付いていなかった場合、その合意には重大な錯誤があり、無効となります。

 法定利率を超えた違法な利率で貸し付けていた場合、その計算をベースとする任意整理を行ったとしても、その時点で引き直し計算をすればもっと債務額は減っていた、あるいは過払い状態になっていたと知っていれば、当然そのような和解は行わなかったであろうと推測され、民法95条の錯誤無効を主張できるからです。

 この点、平成10年代半ばくらいまでは、弁護士や司法書士などの専門家はおろか、裁判所ですら過払い金返還の考えは希薄で、法定利率を超えた約定利率をベースとした債務額を基礎として、任意整理が行われていました。

 しかし、最高裁で過払いに関する判例が確定して以降は、かつて任意整理をして和解した案件であっても、後に過払い状態になっていると判明した場合は、過払い金返還請求することができるようになりました。

 かつて任意整理を行ったものの、今になって考えてみると過払い状態だった、あるいは現在返済中だが過払い状態になっているのではないかと心当たりのある方は、今からでも遅くはないので、一度ご相談ください。

土田司法書士事務所