自己破産・個人再生における相続財産の扱い
自己破産や個人再生を申し立てる際、裁判所に対し、財産目録を提出する必要があります。その中で、相続財産の有無と、相続財産がある場合は、その詳細を報告しなければいけませんが、どのような記載が必要でしょうか。
まず、両親や配偶者など、申立人にとって被相続人となる人が存命の場合は、まだ相続が発生していないため、相続財産は無しと記載すれば足ります。この場合は、特に問題ありません。
次に、自己破産や個人再生の申立時点で、申立人が誰かの財産を相続しており、すべての相続財産の名義書換などが済んでいる場合は、既に申立人の財産の一部となっているため、この場合も、相続財産は無しと記載することになります。
問題は、破産や再生の申立時点で、申立人が誰かの財産を相続しているにもかかわらず、相続財産の全部または一部の名義書換などが済んでいない場合です。この場合、既に遺産分割協議が完了しているか、していないかによって、財産目録の記載方法が異なります。
既に遺産分割協議が完了していれば、財産目録には、遺産分割協議書記載の通り、申立人が相続した財産を相続財産の欄に記載することになり、まだ完了していなければ、すべての遺産の法定相続分の持分割合を備考欄に記載することになります。
ここで注意が必要なのは、破産や再生を申し立てる人が、自分の財産を債権者に持っていかれることを避けるため、遺産分割協議で遺産を放棄しても、後で取り消される可能性があるということです。
もし債権者に遺産を渡したくないという場合は、破産や再生の申立前に相続放棄をしていただければ、遺産分割協議で遺産を放棄するのと違い、後で取り消されることはありません。ただ、相続放棄は、遺産分割と異なり、手続をするのに期限があるので、必ず相続放棄できるというわけではありません。
自己破産や個人再生を申し立てられる方で、未分割や分割済みでも名義書換未了の相続財産をお持ちの方は、ご依頼される司法書士や弁護士に、その旨を十分に説明して手続をすることをお勧めいたします。