自己破産で同時廃止事件となる基準3
自己破産を申し立てる際、同時廃止事件となるか管財事件となるかの基準について、不動産以外の財産についてはこちらのページで説明した通りですが、不動産はどのように評価されるか、岐阜地方裁判所が発表している基準について説明いたします。
まず建物については、固定資産税評価額を時価として計算します。つまり、同評価額がそのまま財産を算定する金額となります。
次に土地についてですが、こちらは固定資産税評価額そのものではなく、評価額に7分の10を掛けた金額が自己破産をする上での財産評価の基準となります。土地は、一般的に固定資産税評価額の1.5倍ほどの金額で売却できることが多いため、そのような計算方法となったようです。
自己破産申立人の財産の中に土地や建物がある場合、上記の基準によって時価を算定し、他の財産と合わせて50万円を超えているかどうかで、同時廃止事件となるかが決まります。
ただ、不動産に抵当権などの担保が付いている場合は、残りの被担保債権額が不動産の時価を超えていれば、いわゆるオーバーローン状態となり、不動産の売却金はすべて担保権者に回収され、他の一般債権者に財産を分配する必要がなくなるので、たとえ不動産を含めた総資産が50万円を超えていたとしても、同時廃止事件として申し立てることが可能となります。
また、不動産に担保が付いておらず、固定資産税評価額が50万円を超えていたとしても、事実上価値がなく、売却できないような不動産であれば、例外的にその旨を上申して同時廃止事件にしてもらえる余地があります。これは個々のケースごとに裁判所が判断することなので、必ずそのようになるわけではありませんが、以前、岐阜地方裁判所に同様の処理をしてもらったことがあります。