株式会社ジャックスという信販会社に時効援用した際のことについて述べたいと思います。

 

 通常、貸金業者との取引については、最終弁済期から5年の経過により消滅時効にかかります。その5年間に、民法147条規定の行為をしたことによって、消滅時効を中断することができます。

 

 同法所定の行為とは、債権者の債務者に対する請求などがあり、したがって、債務者に対して督促状を送付すれば、消滅時効が中断されることになり、そこから再度5年が経過しないと時効を援用できないことになります。

 

 しかし、民法は同時に、153条で「催告は、6箇月以内に、裁判上の請求(その他)をしなければ、時効の中断の効力を生じない。」と規定しており、単なる督促状や請求書の送付をしても、暫定的な時効中断措置にしかならず、6ヶ月以内に裁判上の法的措置等を採らないと、時効中断になりません。

 

 今回のジャックスに対する時効援用について、過去に裁判上の請求などをしたことがあったかを担当者に訊いたところ、時効期間の5年間はおろか、その期間を経過後もそのような措置を採ったことがないと回答されたので、時効消滅していると主張したら、「2年前に私文書で督促状を送付しているので、まだ時効は完成していない。」との謎理論を主張されました。

 

 今までに、どの貸金業者からもこのような反論をされたことはなく、上記のような法律の根拠を示して反論しても、やはり結論は変わらなかったので、依頼人と相談の結果、同社に対し「こちらとしては時効消滅として処理するので、貴社もご自由にどうぞ。」と通告して手続を終了しました。

 

 今後、同社から依頼人に対し、訴訟提起などがある可能性もありますが、逆にどのような法律構成で主張してくるのか聞いてみたい気もします。

土田司法書士事務所