自己破産には、自己破産のページで説明したように、同時廃止事件と管財事件があります。

 

 同時廃止事件は、申立と同時に手続を廃止するもので、債権者に分配すべき財産がなく、かつ、これといった免責不許可事由がない場合に行います。管財事件は、債権者に分配すべき財産があるか、または、免責不許可事由があるなどの理由により、財産調査を要するものです。

 

 両者の大きな違いは、予納金の金額です。同時廃止事件では、官報公告費と予納郵券合わせて2万円前後で済みますが、管財事件では、最低でも20万円ほどの予納金が必要になるため、手続の遂行に大きな差が生まれます。

 

 申立人としては、同時廃止事件として処理できれば、少ない予納金で済むため、非常に助かるところですが、同時廃止事件となるか管財事件となるかは、最終的に裁判官の裁量によるとことが大きいため、申し立ててみるまでわからないので現実です。

 

 岐阜地方裁判所(本庁)を例に取ると、昨年4月以降、当職の印象では、非常に厳しく審査する傾向にあり、少しでも免責不許可事由に該当する形跡があると、少額管財に回されるようになりました。

 

 もちろん、自己破産は、本来は返済すべき債務を免除するという、いわば法の禁じ手のような手続なので、例外的に運用しなければならないのはわかりますが、やむをえない経緯で破産するような人でも、同時廃止で行けるところを少額管財にされてしまうと、今後の生活にも影響しますし、そもそも破産する人に数十万円の予納金を用意しろというのも非常におかしな制度なので、できれば審尋などの手続で対応してもらえるとありがたいところです。

土田司法書士事務所