今月、司法書士の代理権の範囲について争われていた和歌山訴訟の最高裁判決がありました。新聞にも載ったため、司法書士や弁護士以外でもご存知の方がいるかもしれません。

 

司法書士は法律上、140万円以内の民事紛争についてのみ弁護士と同じように代理権があり、それを超える金額について争いがあるときは代理権を持たず、書類作成についてのみ受任できることになっています。

 

もちろん、今回訴えられた司法書士は、過払い金請求訴訟の際、140万円を超える案件についてはちゃんと書類作成のみを行い、訴訟代理をすることはなかったのでしょうが、それでも裁判書類作成が事実上の訴訟代理にあたる部分があったと判断されたようです。

 

この司法書士が具体的にどのような書類作成をし、訴訟の場でどの程度の活動をしていたのか不明ですが、通常、司法書士は簡易裁判所だけでなく、地方裁判所以上の裁判所においても、書類作成権限を持っているはずです。

 

今回の判決を受け、書類作成を含む債務整理手続の実務にどのような影響があるか、従来より変更しなければならない点があるかは、多方面における合意を待つことになりそうですが、今回問題となったのは地方裁判所における司法書士の訴訟活動であって、破産・再生申立書類作成については影響はないようです。

 

判決は司法書士に不利なものばかりでなく、1件あたりの債務額が140万円以内であれば、複数の業者から合計140万円超の債務があっても、司法書士の代理権の範囲に含まれるという有利なものもありました。

 

私が開業した当時、債務整理や過払い請求と言えば、ほとんど司法書士の領域で、弁護士はあまり手を出しませんでした。ところが、昨今は弁護士の数が増えすぎて、仕事減に困っている弁護士も多いと聞きます。弁護士と司法書士が対立することにならないよう、関係者には冷静に対応してもらいたいと考えます。

土田司法書士事務所